パスポート

砂の旅券

Emptiness passport in a handful of sand

2019.5.25(sat)&5.26(sun) 11:00~17:00

一トンの砂を敷く。一握りの砂が流れる。
一続きの砂の先には、あなたがたしかに存在している。

 来る2019年5月25 - 26日、渋谷にて、「砂の旅券(パスポート)」という作品を発表します。会場には一トンの砂が敷かれ、訪れた人の一握りの砂をおさめた「砂の旅券」が発券されます。それを通して、一トンの砂から一握りの砂が流出していきます。

 私は、渋谷区にある、四畳半の部屋に砂を200kg敷いた「砂の部屋」に暮らしています。そこでこれまでに、100を超える人を招いたり、そこから派生して、様々な場所に砂を敷いてきました。そして、いつしか「砂を敷く人」といわれるようになっていました。しかし、私が行っていることは、砂を敷くこと、砂を流出させること、この2つの行為を土台にして成り立っているのです。
 そこで、これから、一トンの砂をあらゆるかたちで流出させる作品を制作していくことにしました。流出する砂には、それぞれのまとまりごとに、その時までに流出した砂の総重量が、一続きの通し番号として振られていきます。そして、その流出のかたちのひとつが、今回発表する「砂の旅券」なのです。

 一トンの砂が、一握りによって流れ出す。その砂は、地続き上に存在する、この世界を流動し続けます。生きるものによって、あらゆる場所へ流れ出した砂と砂との間には、エンプティネスの繋がりが浮かび上がります。エンプティネスとは可能性をもった空白であり、それによる繋がりは、断絶や絆が生まれる以前の、互いが存在しているということそのものを表します。
 私の一握りの先にも誰かの一握りが存在していて、私の地続き上にはたしかに誰かが存在している。流れる砂の重さを増すごとに、この地続き上の実感は、たしかなものとなっていくのです。

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